【読書記録】「自己肯定感低めの人」のための本

読書記録

図書館で見つけて「そうそう!私、自己肯定感低め!」と、前のめり気味に手に取った一冊。

「自己肯定感を高める」ということについては、多くの本やメディアで取り上げられていますが、こんなに長い間自己肯定感低めで生きてきたのに、今さら高くできるのか?という疑問がありました。

本書は冒頭で、書いてあるのは「自己肯定感を高める方法」ではなく「自己肯定感低めでも悩まなくなる方法」だと断言しています。

そもそも自己肯定感とは、自分はありのままでいい、生きているだけで価値があるという感覚であり、個人がそれを得られているかどうかの話なので、本当は高いも低いも無いんだとか。

確かに、タイトルはあくまで「自己肯定感低めの人のための」本だと言っているだけで、「自己肯定感を高めるための」本とは言ってない。
あ、これならできるかも…!と思って、読み始めたのでした。

潜在意識の中にある”メンタルノイズ”の発見と対処

本書のキーワードは「メンタルノイズ」。無意識の心のクセのこと。
筆者の山根洋士さんは、8,000人もの心のクセを直してきた、人気のカウンセラーです。

すぐに不安になる、人の評価が気になる、何をやってもうまくいかないなど「こんな自分ってダメだな」と思ってしまうときには、心のノイズ(メンタルノイズ)に邪魔されているのだそうです。

メンタルノイズは、小さな頃の体験や記憶が蓄積された「潜在意識」の中にあります。
自分はどんなメンタルノイズを持っているのかを知り、うまくいかないときにこのノイズの存在に気づくと「ノイズのせいなんだ!自分のせいではないんだ!」と、自分を責めなくて良くなります。

本書では、読者が自分自身の中にあるメンタルノイズの存在に気づくため、ノイズを14タイプに分類し、それぞれのノイズへの対処法を提案しています。

14タイプのノイズのうち、私が特に自分に当てはまると思ったのは、次の2つでした。

・ちゃんとしなきゃノイズ

家庭環境により、子どもらしくふるまえなかったという経験が、うまく人に頼れない、気を遣いすぎて疲れるという「ちゃんとしなきゃノイズ」になるのだそうです。

思えば子どもの頃、家庭内で両親や嫁姑の争いがよく起きていて、自分が家庭の空気をよくしないと、という気持ちがありました。また、兄弟がいないので、家庭の環境について共感できる相手がおらず、大人だらけの環境にどこか合わせていた気がします。

今でも、人に頼るのが苦手でつい自分で頑張ってしまうところや、やたら愛想よくふるまってあとでドッと疲れる…ということがよくあるのですが、これがノイズなんだろうな。

このノイズの対処法は、「少しだけ人に迷惑をかけてみる」ことなのだそうです。確かに、自分が迷惑かけていると思っても、相手は意外と迷惑と思っていないかもしれません。まずは、自分が相手だったらどう感じるだろう?というところを基準に、少しずつ「ちゃんとする」頻度を減らしていきたいと思います。

・おもてなしノイズ

サービス精神旺盛な家庭で育つと、人の評価が気になって仕方ない「おもてなしノイズ」になるのだそうです。

私の実家は、お客さんを呼ぶのがとても苦手。小学生の頃、友達を家に呼ぶとなると、親がお菓子を買って来なきゃ、家を掃除しなきゃとすごく気を遣っていて、全然嬉しくなさそう。申し訳ない気持ちになり、いつからか友達を呼ぶことはなくなりました。
そして大人になった私も同じように、家にお客さんを呼ぶとなると、かなり身構えてしまうのです。

どうやらこのノイズは、サービス精神を発揮するときに、自己犠牲を払ってしまうことが良くないんだとか。「自分が楽しくなくて相手が楽しいことを、少しずつやめてみる」ことが、対処法なのだそうです。

私の場合、人と家で食事したりすること自体は好きなので、おもてなしを自分の無理のない程度にするのがいいのかなと思いました。少し散らかっててもいいや~とか、ご飯は宅配ピザでいいや~とか。


ご紹介したノイズのパターンは一部ですが、きっと多くの方が、14パターンのうちどれかのノイズについて「自分これ当てはまるかも!」と共感できるのではないでしょうか。

後半では、これらのノイズが発生したときに「ノイズキャンセル」できるような、習慣や考え方が紹介されています。簡単にできるものばかりだったので、早速実践してみたいと思っています。

”メンタルノイズ”を作った環境は、もう過去のもの

ノイズ診断に引っかかった部分について、自分の育った環境を思わず恨んでしまいそうになったのですが…最終章の一文に、決してそんなことはないんだと気持ちを改められます。

これまで散々あなたを邪魔して、悩ませてきたメンタルノイズですが、反面、これまであなたを守ってきたのもメンタルノイズです。

山根洋士「自己肯定感低めの人」のための本 p.217


私の場合は、小さな頃、家庭の険悪な空気を良くするようなふるまいをすることが、自分の置かれた環境を改善することに繋がっていました。
つまり「ちゃんとしなきゃノイズ」に守られてきたのです。

育った環境の中で自分を守ってくれたノイズに感謝しながら、もう守ってくれなくても大丈夫だと伝えましょうという、ノイズの存在を決して否定しない筆者の考え方には、なんだか安心できるものがありました。

”メンタルノイズ”の発見を、自分を見つめるきっかけに

本書の論旨とは少しズレるかもしれませんが、私は自分のメンタルノイズを発見する過程で、実家の家族との関わり方についても、気づきが得られました。

「ちゃんとしなきゃノイズ」を装備している私は、結婚して自分の家庭を持った今でも、実家の空気を良くしなければ、親が望むようなことをしなければ、という思考回路に陥ってしまいがちです。

でも、ノイズによって自分の居場所を守っていた小さな頃とは違って、今や実家の空気が少々悪かろうが、親の機嫌が少々悪かろうが、よく考えたら自分にそんなに害はないんだ、ということに気づき、ハッとしました。

メンタルノイズを見つけるという作業は、潜在意識によって作られた今の自分の思考回路を客観的に見つめ、ノイズのもととなった環境そのものとの今後の付き合い方にも生かしていけるのかな、と思いました。

日々、息苦しさやモヤモヤを感じている方に、おすすめの一冊です!

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